「ハツカネズミと人間」終演

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    「ハツカネズミと人間」に御来場いただきありがとうございした。
    もう1週間前なんですね……!




    作演出、舞台美術の藤井みなです。







    4年半にしてついに再演の思い遂げることができました。
    前回のものは作、出演だったので、再演する時は1番の観客になろうと決めていました。
    マエカブの中では私こそが1番の原作ファンだと思っています。







    このお話は世界恐慌時代のアメリカのとある農場が舞台の物語です。当然原作は英語で書かれています。
    この時代の背景や常識、和訳されているセリフ、アメリカ人特有の文化etc.
    2018年の時代に日本人が演じ、日本人のお客様に向けて上演する上で原作とのギャップはそれはもう多くあります。



    世界恐慌の時代は世界史で数行読んだ程度。英語のニュアンスを完璧日本語に落とし込むことは不可能。原作自体知らないし、そもそもスタインベックって誰よ?





    それで構わないと私は思っています。






    日本人のための日本人が演じる「ハツカネズミと人間」は何かしらの方法はある!
    「現地では、当時ではこうだったから」
    ではもったいない!

    英語では一人称の“I”も日本語だとおれ、わたし、あたし、わし。

    レニーはきっとジョージの真似をしたがるから“おれ”にしよう。

    カーリーは農場の労働者と異なり訛りをなくそう。






    日本語のニュアンスで表現できることは、いくらでもあります。
    (英語のニュアンスで表現できないことも多くありますが……)

    でも人間の芯のところは変わらない。届くものは何でも超えて読み手のところまでやってくる。
    近代の作品はだからそこ大好きです。



    やはり溝を埋めるためには役者さん頼りにはなってしまいましたが、彼らに生命を与えてくれたのは役者たちです。








    ジョージ
    賢くも、愛情深い、強い小男。この物語1番の被害者は彼なのではないだろうか。彼はそうは思ってなかったとしても。なぜ彼がレニーと歩いているのか?そこには利害でないものがあってほしいと思う。物語の中で3分の1はジョージがしゃべっているのではないか。彼とRIN自身どこか重なるところがある。







    レニー
    「ハツカネズミと人間」は彼の物語。彼がどんな死を迎えたか。私の中では彼が主人公。夢見る人たちを手にかける夢喰い白黒バク。無邪気ながらも一種の残酷さも持ち合わせている。本人に悪気がないのがより悪い。「レニーを可哀想な人にしたくない」三嶋が演じるレニーはたまに恐怖を感じることがある。






    キャンディ
    原作では実はおじいちゃん。ころころ笑うかわいいおしゃべりばあちゃん。明るい。こういうばあちゃんいるよね。だからこそ結果が悲痛。ジョージと並ぶとさらにふたつちっちゃい。かわいい。宮本初のばあちゃん。クララ兼役し、おばさま?おばあちゃんを好演。






    スリム
    1番の(唯一の?)常識人。やさしく、賢く、たまに冷たく感じるのも彼がとても合理的な人だから。原作では彼の「夕べ子犬を産んだ」犬は名前がある。
    (農場の人がカーリーの妻をその犬の名前で陰口をいう場面があるが、カーリーの妻=雌犬という悪口。)
    初演もスリムの新谷。安定的で挑戦的。






    カーリー
    親方の息子。親方は原作ではちゃんと出てくる。若く、世間知らずで傲慢。どうしょうもない男だが、谷口演じる彼はなぜか可哀想にすら感じる。妻に愛されず、探しても会えず、手を折られ、妻を殺され……。妻もカーリーを探している(フリ)が原作でも上演でも死ぬまで同じ場で出会えない。でもやはりどうしょうもない男。





    カーリーの妻
    (遠藤のブログにも記載あったが)原作でも名前のない役。農場の人行きつけの遊女(出てこない)にさえ名前があると言うのに……。人を乱し、場を荒らし、旦那同様どうしょうもない奥さん。似たもの夫婦?実はかわいい人かもしれないと思った瞬間殺される。「哀れな女」。遠藤の妻は推しとセクシーが暴力的でもうすごい。とにかくすごい。






    カールソン
    原作では実は彼の台詞で締められる。現場に集まってくる農場の人々。ジョージを連れ出し励ますスリムを見送りながら、「あの二人いったい何を気にしているんだろうな。」彼は物語の“イレギュラー”な人々と違いこの時代の人の代表のように思われる。与力の声、表情から再演の話が出る前からカールソンに推していた。(与力本人と彼は程遠い。)





    クルックス
    元黒人奴隷の男。原作では黒人訛りで話す。希望を1度だけ与えられ踏み潰されるなんとも可哀想な人。自分を守るために賢さを手に入れたが、「あんまり寂しいと病気になっちまう」ことになってしまった。もしかしたらジョージやキャンディの結末も彼なのではないかと思う。田坂はしばらくクラッカーも見たくないだろう。









    「ハツカネズミと人間」何度思い返しても愛おしい登場人物ばかりです。
    観た人がどこに思いを馳せるか、誰に寄り添えるかが選べる物語だと私は思っています。

    再演の壁はありましたが、作品ファンには変わらないのでまた再々演もこそこそと狙っていきたいなと思います。(笑)

    長くなりましたが、多くの人の手によって完成したものです。
    お客様、関係者各位本当にありがとうございます。





    やれてよかった!!

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